株式会社リベルタス・コンサルティング
<共同自主調査報告>

「5万円あったら」調査

〜 携帯電話を中心とした消費者の購買意識に関するアンケート結果 〜
(後半)
2007年4月

NTTナビスペース株式会社
株式会社リベルタス・コンサルティング

NTTナビスペース株式会社(本社=東京都豊島区,http://www.nttnavi.co.jp/)と株式会社リベルタス・コンサルティング(本社=東京都港区,http://www.libertas.co.jp/)は、携帯電話を主な考察対象として消費者の購買意識を把握することを目的にアンケート調査を実施しました。2回シリーズで結果の一部をご紹介します。本稿はその後半です。(前半をまだお読みでない方は、ぜひご一読の上、この後半をご覧下さい。)

1.調査結果

前半のレポートでは、優先購入率(自由に使える5万円があるときに特定の商品が優先的に購入される割合)及び平均支出額(当該商品に優先的に支出される金額の平均値)のデータを用いて、主として男女別の観点から分析を行ないました。 この後半では、年齢階層別の視点から、60代の携帯電話購入意識に光を当てた分析を行ないます。

(1)60代の携帯電話購入をめぐる状況

図表3は、年齢階層別に集計した携帯電話の優先購入率と平均支出額を示しています。優先購入率については、20代(12.8%)から50代(8.0%)にかけて低下しますが、60代では一転して10.0%へと高まります。60代の人々は、20代にはやや及ばないものの、30代と同程度の志向性を携帯電話に対して持っているといえます。

他方、平均支出額については優先購入率とは反対の傾向を見て取ることができます。すなわち、20代(17,763円)から50代(17,957円)にかけては増加ないしは横ばいで推移し、60代で15,208円へと下落します。

このように、やや目立った動きをする60代については、もう少し詳しくみてみる必要がありそうです。

図表3:年齢階層別にみた携帯電話の優先購入率と平均支出額
図表3:年齢階層別にみた携帯電話の優先購入率と平均支出額

60代において携帯電話の優先購入率が比較的高いことの背景には、この年齢階層において携帯電話の浸透が相対的に遅れていることがあると推察されます。その1つの裏づけが図表4です。これは、今回のアンケートで「あなたは携帯電話を利用していますか?」との質問に対して「はい」と答えた人の割合を性別・年齢階層別に示しています。ただし、図の注釈にもあるように、この質問では利用頻度とは関係なく携帯電話を利用しているか否かを尋ねました。また、回答者の中には本人名義ではない携帯電話(会社支給のものなど)を利用している人も含まれます。よって図表4のデータはいわゆる「普及率」とは異なることにご注意下さい。ここでは便宜的に「利用率」という言葉を用います。

この図表4から分かるように、男女ともに20代に比して60代の携帯電話利用率は低いです。特に女性では両世代間の差が大きく、20代の利用率が限りなく100%に近い98.2%であるのに対して60代の利用率は約75%(4人に3人の割合)にとどまっています。

この回答結果を踏まえると、60代という年齢階層においては「いつかは携帯電話を持ちたい」という、いまではほとんど消滅しかけている購入動機がまだ生きている可能性があります。ただし、その購入動機を実際の購買行動へと結びつけるためには、消費者としての60代の意向を踏まえた適切な価格設定が求められます。なぜなら、前掲の図表3で確認したように、60代の携帯電話平均購入価格は他の年齢階層に比べて1〜2割程度安いからです。

図表4:20代と60代の携帯電話利用率の比較
図表4:20代と60代の携帯電話利用率の比較
注:アンケートでは利用頻度とは関係なく携帯電話を利用しているか否かを尋ねた。回答者の中には本人名義ではない携帯電話(会社支給のものなど)を利用している人も含まれる。

(2)20代の優先購入率が高いのはなぜ?

ところで、60代の優先購入率の高さが携帯電話の利用率である程度説明されるとしても、それは20代には当てはまりません。20代は携帯電話の優先購入率が相対的に高い(12.8%、前掲図表3を参照)と同時に利用率も高い(前掲図表4を参照)からです。

20代の優先購入率が高い要因の1つは、若者の“新しモノ好き”な気質にあるのではないでしょうか。今回のアンケートでは携帯電話の買い替え周期を尋ねており、その結果は図表5の通りです。20代の買い替え周期はより高い年齢階層に比べて明らかに短く、その大半が2年未満で買い替えると回答しています。ここからは、20代の人々が、頻繁な新製品の投入に敏感に反応して短い周期で携帯電話を買い替えている様子が窺われます。いま好評を博しつつあるワンセグ携帯も、当面は20〜30代を中心とした若年層を中心に普及していくと予想されます。

図表5:20代と60代の携帯電話買い替え周期の比較
図表5:20代と60代の携帯電話買い替え周期の比較
以 上
↑このページのTOPに戻る
Copyright (c) Libertas Consulting Co., Ltd. All rights reserved.