株式会社リベルタス・コンサルティング

産業クラスターとは何か?

日本各地において、地域経済の再生施策として「産業(地域)クラスター」形成にむけた取り組みが行われています。

クラスターは本来「群れ」「(ぶどうの)房」などを意味します。その名の通り「産業クラスター」は、ぶどうの房のように企業、大学、研究機関、自治体などが、地理的に集積し、相互の連携・競争を通じて新たな付加価値(イノベーション)を創出する状態のことを言います。

産業クラスターが政策的に注目を集めている背景

企業が国境を越えた生産拠点配置を展開する現代において、国内の大都市圏から地方圏への企業誘致に頼る”外発的”な地域産業政策の有効性は低まっています。他方、米国などに目を転じると、シリコンバレーのように、地域に根ざす研究機関と中小・ベンチャー企業などの交流からイノベーションを生み出すという”内発的”な取り組みが多く見られています

産業クラスターの例

産業クラスターの代表例として、カリフォルニア州のシリコンバレーがあげられます。シリコンバレーは自然発生的に形成されていますが、政策的に形成されたものとしては、テキサス州オースティンの情報産業クラスター(石油産業からの転進)、ペンシルバニア州フィラデルフィアのバイオ産業クラスター(造船業からの転進)があげられます。

国内における主な取り組み

日本におけるクラスター形成に向けた取り組みとして、2001年より開始した経済産業省「産業クラスター計画」、文部科学省「知的クラスター創成事業」があげられます。「産業クラスター計画」では、全国19のプロジェクトが実施されており、地場企業を中核とした取り組みが行われています。一方「知的クラスター創成事業」では、全18プロジェクトが実施されており、先端技術シーズを中核としています。ただし、両クラスターともに地域の産業集積を高め、地域活性化を図ることを最終的な目標としています。

また、これらの施策以外にも、地域政策としてクラスター形成に取り組む事例が数多くみられます。例えば、北海道では、1998年より産業クラスター創造事業として北海道の各地域で取り組みが行われています。

ネットワーク強化が産業クラスター形成のポイント

産業クラスターの提唱者であるハーバード大学のマイケル・E・ポーター教授は、クラスターを強める条件として、要素条件、需要条件、関連産業・支援産業、企業戦略及び競争環境、の4つを挙げています(競争優位のダイヤモンド)。

産業クラスター形成の4条件
要素条件研究シーズ、人材、設備、資本、インフラストラクチャー等、
競争するのに要するあらゆる資源
需要条件製品・サービスに対する国内市場の需要や顧客ニーズの規模
関連産業・支援産業設備、原材料、部品等を供給する企業、及び資金面、人材面、
経営面等での支援を行う機関
企業戦略及び競争環境企業の設立、組織、管理等に関する戦略と、企業間の競争状態

産業クラスター政策では、要素条件である企業や研究者、研究シーズの集積や、関連・支援産業であるVCやTLOなど支援機関に注目が集まりがちですが、同時に企業戦略及び競争環境を支えるネットワークの強化が重要となります。集積する企業や研究者、支援機関が集積するだけでなく、それらのプレーヤーが互いのネットワークを強化し、相互作用(競争・協調)を高めることによって、高次なイノベーションが生まれることとなります。

リベルタス・コンサルティングでは、上記の認識の下、産業クラスター形成における戦略構想立案やビジネス・マッチング支援を行います。なお、リベルタス・コンサルティングには、これまでシンクタンク業務、コンサルティング業務を通じて産業クラスターに関わったメンバーが複数存在します。これらの経験・ノウハウを生かして、地域における産業クラスター形成、ネットワーク形成といった場面において質の高いサービスを提供することができます。

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2005年12月15日
八田 誠 (はった・まこと)
※本稿は執筆者の個人的見解であり、弊社の公式見解を示すものではありません。
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