国民保護法は、平成15年の有事三法の成立を受けて検討が進められ、平成16年9月に施行された「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」で、日本が武力攻撃を受けたときや大規模テロにさらされたとき、国民の生命・財産を守る方法を定めた法律で、「避難」、「救援」、「武力攻撃に伴う被害の最小化」を3つの柱として、国、都道府県、市町村や指定公共機関等の役割を規定している。
市町村は地域住民に一番近い自治体として、住民の避難誘導、安否確認など様々な場面で大いに期待されている。 特に、実際の避難、救援などの場面を想定すれば、高齢者や障害者等に対する配慮、大都市や山間部などの地域特性に配慮することが必要であり、そうした細やかな検討を進め、実行するには市町村の役割が必要不可欠である。
通常の防災対策で整備が進められてきた市町村防災行政無線や地域公共ネットワークなど既存のインフラを活かし、これらの機能が有事にも機能するよう一層の整備が重要とされている。
国民保護法施行後のスケジュールとしては、まず国は国民の保護に関する基本方針を策定し、国会に報告することが求められており、平成17年3月に想定される武力攻撃事態の類型や類型に応じた避難、救援、武力攻撃災害への対処措置などをまとめている。 その具体的な内容は国民保護ポータルサイトに掲載されているので参照されたい。
続いて、都道府県は都道府県国民保護計画を今年度中に策定することになっており、そのモデル計画も平成17年3月に消防庁がまとめたところであるが、現在策定済みの県は鳥取県、福井県の2県にすぎない。
市町村についても18年度をメドに市町村国民保護計画を策定することになっている。 現在消防庁が市町村のモデル計画を作成しているところで、今年度中に策定される都道府県の保護計画とあわせて、材料が揃ってから検討をはじめようとしている市町村が多いと思われる。
しかし、現在都道府県で計画を策定済みの2県と埼玉県は国の基本方針やモデル計画を待たず、独自に検討を進めていた県である。 市町村国民保護計画で検討すべき事柄は多岐にわたることから、災害対策基本法に基づく地域防災計画など既存の危機管理の仕組みと併せて早めに検討を開始し、実効性のある取り組みを行うことが求められている。