株式会社リベルタス・コンサルティング
<共同自主調査報告>

現代人の「生活満足度」と「幸福度」

2007年2月

NTTナビスペース株式会社
株式会社リベルタス・コンサルティング

NTTナビスペース株式会社(本社=東京都豊島区,http://www.nttnavi.co.jp/)と株式会社リベルタス・コンサルティング(本社=東京都港区,http://www.libertas.co.jp/)は、現代人が抱いている「生活満足度」と「幸福度」を概括的に把握することなどを目的に、共同自主調査を実施しました。本稿は、その結果の一部をご紹介するものです。

1.調査概要

(1)実施方法

インターネット調査(ウェブ画面上で回答)

(2)対象サンプル

NTTナビスペース株式会社が保有している約16万人の調査モニターから、性・年齢階層(10代〜50代の10歳きざみ)・居住地域ブロック別に割り付けた6,279サンプル(回収ベース)。

(3)実施時期

2006年11月1日〜同年11月12日

2.調査結果

(1)生活満足度と幸福度の回答結果比較

図−1は、生活満足度と幸福度に関する下記2つの設問の回答結果を、比較できるように示しています。

【生活満足度に関する設問】

あなたは全体として、現在の生活にどの程度満足していますか。最も当てはまるものを以下の中から選択してください。

【幸福度に関する設問】

全体として、あなたは現在どの程度幸福だと感じていますか。最も当てはまるものを以下の中から選択してください。


図−1:生活満足度と幸福度に関する回答結果比較
生活満足度と幸福度に関する回答結果比較

両設問の結果は、「わからない」への回答がほとんどない点と、「どちらともいえない」への回答が2割前後あるという点で共通しています。

また、両者の相違点としては、生活満足度の「不満だ」と「やや不満だ」の回答率の合計が33.8%であるのに対して、幸福度の「まったく幸福ではない」と「あまり幸福ではない」の合計は21.8%にとどまっています。他方、満足度の「まあ満足している」と「満足している」の合計が45.2%であるのに対して、幸福度の「まあ幸福である」と「非常に幸福である」の合計は半数を超える55.6%に達しています。この相違点から、どういった示唆が得られるでしょうか。

もし生活満足度と幸福度がまったく同じ意味で回答者に解釈されているのであれば、このような差異は生じないはずです。社会心理学の既存研究業績などによれば、そもそも「満足」とは、生活の豊かさや質に関する生活者による冷静かつ客観的な査定の結果だとされています。他方、「幸福」は「満足」をベースとしつつも、その時々の自分の社会的境遇や健康状態などに対する感慨・感情といった心情的ないしは情緒的な要素の影響を受けるとされています。

つまり図−1は、現状の生活を冷静かつ客観的に査定したとき、たとえその結果が満足できる水準に達していなくとも、心情面においては、それはそれとして肯定的に(それでも自分は幸福であると考えて)受け容れる人が一定程度存在していることを示唆しています。今回は、このような心理作用をもたらす要因が何であるかという点までは調査していませんが、興味深い結果です。

なお、生活満足度の「満足している」と幸福度の「非常に幸福である」という最もポジティブな回答は、いずれも4%程度となっています。このポジティブ層の満足要因あるいは幸福要因を精査していくことにより、現代人が抱く“幸せのエッセンス”を抽出することが出来るかもしれません。

(2)“幸福派”の内容構成

上記(1)で、「現状の生活を冷静かつ客観的に査定したとき、たとえその結果が満足できる水準に達していなくとも、心情面においては、それはそれとして肯定的に(それでも自分は幸福であると考えて)受け容れる人が一定程度存在している」のではないかと述べました。この点を検証する試みとして、次の手順で分析を行いました。

このように定義した“幸福派”に該当する回答者は、全6,279サンプルの11.9%に相当する749サンプルでした。以下、この749人の内容構成を見ていきます。

まず、性別については、男性が338人で全749人の45.1%を占め、女性は411人で全体の54.9%でした。図−2は、男女別に、幸福派が全調査対象サンプルに占める割合を示しています。男性は10.8%、女性は13.0%であり、幸福派はどちらかといえば女性の方で多いことが窺われます。

図−2:幸福派が全調査対象サンプルに占める割合(性別)
幸福派が全調査対象サンプルに占める割合(性別)

次に、年代については、10代が68人(全749サンプルの9.1%)、20代143人(同19.1%)、30代191人(同25.5%)、40代181人(同24.2%)、50代166人(同22.2%)という結果でした。図−3は、年代別に、幸福派が全調査対象サンプルに占める割合を示しています。最も割合が高いのは30代の13.2%であり、次いで40代の12.3%となっています。最も低いのは20代の10.9%です。

図−3:幸福派が全調査対象サンプルに占める割合(年齢階層別)
幸福派が全調査対象サンプルに占める割合(年齢階層別)

さらに、年齢階層×性別で全調査対象サンプルに占める割合を見ると、図−4のようになります。

図−4:幸福派が全調査対象サンプルに占める割合(年齢階層×性別)
幸福派が全調査対象サンプルに占める割合(年齢階層×性別)
(注)全調査対象サンプル数(N数)は下記のとおり。
10代男性:30410代女性:294
20代男性:64620代女性:662
30代男性:71930代女性:728
40代男性:73040代女性:743
50代男性:71850代女性:735

図−4で目立つのは、20代の男性における幸福派の比率(8.7%)の低さです。この階層のみが10%を下回っており、同年代の女性に比べて4%ポイント以上低くなっています。この階層が他の階層に比べて「自分は幸福だ」と考えづらい要因とはいったい何であるか、これは今後の調査課題です。

また、図−4では全体として、10代から30代へと年齢を経るにつれて幸福派の比率が高まっています。これは、人間の成長・成熟とともに幸福度も増進しているという意味において、好ましい傾向といえましょう。しかしながら、40代以降では幸福派の比率がやや低下基調となっている点には注意が必要です。人生の後半で人々が幸福度を感じにくくなっているとすれば、現代社会は必ずしも住みよい社会とはいえません。これは、上述の20代男性とともに、現代社会における“幸せ”の実現を考える上で重要な問題を提起していると考えられます。

以 上
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